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中南米って、どんなところ?中南米に転がるビジネスチャンス探し【入門編】その5:中南米諸国の貿易事業

中南米

その5: 中南米諸国の貿易事業
** 何を輸出して何を輸入しているの? **

今回は、中南米諸国が何をどこに輸出して、何をどこから輸入しているのかの概要をご紹介します。
まず各国の輸出入構造は、以下のようになっています。

各国の輸出品目分野の輸出総額に対する割合


典拠:世界銀行データ

各国の輸入品目分野の輸出総額に対する割合


典拠:世界銀行データ

輸入に関しては、どの国も工業製品を輸入に頼っているのが明らかですが、輸出に関しては、ざっと目立つところで、メキシコの工業製品の輸出割合が多いのは自動車産業のため、エクアドルの食品分野はバナナ、チリとペルーの鉄・非鉄金属類は銅の輸出、コロンビアの燃料は石炭の輸出、といったところでしょうか。

輸出に関してはそれぞれの国でバリエーションがありますが、ここではまず、人口が多いブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアについて、もう少し詳しく説明します。

ブラジル

主要輸出品目は、鉄鉱石と原油、大豆、食品(半分が砂糖、次いでコーヒー)、輸送機器、金属、食肉です。主要相手国は中国、米国、アルゼンチン、オランダ、日本となっています。距離的に遠いにも関わらず、輸出の42%はアジア向けです。
ブラジル産の大豆は高たんぱくで、遺伝子組み換えされていないため、高めの価格で取引されています。現在の輸出先は、米国を抜いて中国が一番となっており、中国は米国よりも多くの大豆を、ブラジルから輸入しています。
大豆のようなコモディティは国際価格に左右されるため、輸出による収入は安定しません。今後は、まだ発展の余地がある、オフショア開発も含めた石油ガスや、生産性の高い食肉などの輸出も増やしていく必要があります。
主要輸入品目は、機械、化学製品、石油精製品、輸送機器、プラスチックで、主要相手国は、中国、米国、アルゼンチン、ドイツ、韓国です。農産品の輸出が多い為、農業生産に必要な有機化学品も多く輸入されています。世界の食糧危機を救う、未開拓の耕作可能面積の大部分がブラジルにあるため、アグリテックによる、農業の生産性を最大限に高めるような技術や機材の輸入が、伸びていく可能性があります。

メキシコ

メキシコの主な輸出品目は機械類(電気機器やパソコン)、自動車、鉱物燃料、野菜・果物、医療機器で、主要輸出先は、米国が73%、カナダが5.2%、ドイツが2.1%、中国が2.1%、日本が1.3%となっています。人件費が安い為、他の国よりも製造業で競争力があり、原材料を輸入できる米国に隣接しているため、メキシコに製造拠点をおいてメキシコから輸出するスキームが発達しています。ただ輸出は現在米国に大きく依存している為、米国の経済に左右されるという弱みがあります。
主な輸入品目は、電気機器を含む機械類、鉱産物、プラスチック、化学製品ですが、その多くは、再輸出の為の保税地区での加工業向け原材料です。主要相手国は、米国、中国、ドイツ、日本、韓国です。

アルゼンチン

アルゼンチンの主要輸出品目は、食品(半分以上は大豆加工品)、自動車、穀物、動物・植物油脂、食肉で、主要輸出先はブラジル、米国、中国、チリ、ベトナムとなっています。アルゼンチン肉は近隣諸国でも人気があり、2018年からは食肉の輸出が大きく伸びています。米国向けも17年ぶりに解禁となり、ビジネスチャンスのある品目とみなされています。石油ガス開発もまだ発展の余地があり、政府は、石油ガス開発を進めるために必要な機材の輸入税の、削減措置をとっています。
主な輸入品目は、機械類、自動車、化学品、製油などの鉱産物、金属で、主要相手国はブラジル、中国、米国、ドイツ、メキシコとなっています。アルゼンチンは保税地区が発達しており、近隣のメルコスール市場を始めとする南米市場への入り口としての機能を果たしています。
尚アルゼンチンでは、近年、電子商取引が大きく伸び、オンラインショッピングの数が年々増えています。2021年には、クレジットカードやプリペイカードによりオンラインショッピングを行う人口が、2000万人に達するとみこまれています。アルゼンチンは人口の92%が地方都市に住んでいますが、国土が広い為、オンラインで購入した商品をいかに速く届けるかが課題であり、こうしたロジスティック産業へのイノベーションにも、ビジネスチャンスがあるといえます。

コロンビア

コロンビアの主な輸出品目は、半分以上が鉱産物(原油と石炭)で、次いで、コーヒー、切り花、バナナ、農薬を含む化学品となります。主要な相手国は米国、パナマ、中国、オランダ、メキシコ、エクアドルです。最初の項でも触れましたが、コロンビアはアメリカ大陸のほぼ真ん中に位置し、太平洋側にも大西洋側(カリブ)にも面しているという地の利により、ラテンアメリカへの進出拠点とする外国企業が増えており、政府も外資誘致に積極的です。
コロンビアの主要輸入品目は、機械類、化学品、輸送機器などで、食品、繊維製品、医療機器の輸入も多くなっています。ちなみにコロンビアは歯科医療と整形手術が進んでおり、海外から、観光もセットにした整形ツアーが組まれています。主な輸入相手国は、米国、中国、メキシコ、ブラジル、ドイツとなっています。また政府は農業開発に力を入れており、農機の輸入に対しては補助金が支給されてます。農業発展につながる技術移転に関わるビジネスは、伸びる可能性があるといえます。

域内の経済ブロック

中南米域内の自由貿易協定(FTA)の状況に関しては、米国、カナダ、メキシコの北米自由貿易協定(旧NAFTA、現在はUSMCAが2020年7月に発効)を除いて、メルコスールと太平洋同盟と、大きく二つのブロックがあります。下の地図をご覧ください。

協定内では基本的に関税ゼロとなっていますので、外資の立場からは、一国だけでなくブロックを視野に入れて、ビジネスを考える必要もあります。ただこれらの加盟国の、貿易全体におけるブロック内での貿易は平均16%と低い水準です。また例えば、メキシコとコロンビアが協定を結んだことで、自動車をコロンビアで組み立てるよりもメキシコから輸入した方が安い為に、コロンビアの工場を閉鎖した自動車メーカーもあります。そうなると、自動車のようにすそ野が広い産業は特に、自国での産業発展につながらないという問題もあるといえるかもしれません。

~コラム~

カラフルな中南米

日本のカーネーションの切り花は、数量ベースでも金額ベースでも、約70%がコロンビアから輸入されているのは、あまり知られていないのではないでしょうか。赤道に近いコロンビアは、切花の輸出がオランダに次いで世界第2位で、カーネーションは第1位ですが、エクアドルも、2000年代から世界有数のバラ生産国に成長し、ロシア、米国、ヨーロッパに輸出されています。赤道直下なため、一年中真上からさす強烈な陽光で、発色が良いと言われています。エクアドルでは「ブラックマジック」という、普通のバラよりもずっしり大きく、花弁は黒に近い濃厚な赤で、ベルベットのように光沢がある品種もあります。品種自体はドイツで開発されたものですが、エクアドルで栽培されたものが絶品です。

その他チリには、美容や健康に良いローズヒップの野生の産地がありますが、大量栽培できない為、貴重品となっています。ペルーはキヌアやチアシードなどのスーパーフードの宝庫であり、コロンビアは、消えるタトゥー(ジャグアタトゥー)の原料である果物(ジャグア)の原産地です。自然素材の青の染色は難しいようですが、このジャグアブルーは米国や西欧にも輸出されて、食品の色付けなどにも使われています。
カラフルな南米は、天然の色の宝庫でもあるようです。

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