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中南米って、どんなところ?中南米に転がるビジネスチャンス探し【初級編】その8:中南米の財閥を知る

中南米

その8: 中南米の財閥を知る
** 中南米の経済を回す各国の財閥 **

中南米は、お金がお金を生む経済といえ、殆どの国で、財力のある財閥系が様々な分野に投資をして、系列企業やグループ企業を形成しています。ヨーロッパ系の移民が立ち上げた家族経営の企業が多く、軍政時代に政府の援助を得て、まさにお金でお金を生みながら大きく成長した傾向があります。こうした財閥は、富の不平等な分配による所得格差の源泉であり、社会主義政権では厳しい措置をとられがちです。こうした財閥系がマスコミを抑えている国では、左翼政権になって言論の統制を受けることもあります。

中南米で新たにビジネスを立ち上げる場合は、こうした財閥系企業と関係を築くことで成功しやすく、またシナジー効果で発展することも期待できます。所得格差が大きな中南米では、財閥系の社会は、人口全体からはほんの一握りの富裕層で成り立っており、非常に狭い社会です。富裕層の人物と関係を築くと、うまく立ち回れば、そこから学校の同級生や、親戚の親戚、知り合いの知り合いを紹介してもらうことで、外国人であっても人脈を構築していくことは不可能ではありません。

以下に、中南米の主な国の、主要な財閥グループと、それらが投資している産業分野をご紹介します。

1.ブラジル

ブラジルの財閥系は、資源やインフラ関係で財を築いてきたところが多いと言えます。特定産業の家族経営企業としては、以下が挙げられます。

Vale(バレ)社: 鉱山開発、運輸、製鉄、石油
近年の世界規模の汚職事件で有名なOdebrecht(オデブレヒト)社: インフラ、油田開発

その他、様々な分野に進出しているグループとしては、以下があります。

Camargo Correa(カマルゴ・コレア)グループ: 建設・エンジニアリング、セメント、エネルギー、運輸、造船、不動産
Votorantim(ボトランチン)グループ: エネルギー、製鉄、鉄鋼、金融
Silvio Santos(シルビオ・サントス)グループ:  マスコミ、エンタメ、ホテル、不動産、化粧品
Andrade Gutierrez(アンドラーデ・グティエレス)グループ: 建設・エンジニアリング、発電、通信、上下水

2.アルゼンチン

アルゼンチンの財閥グループは、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルなど近隣諸国だけでなく、欧米にも進出している企業が多いといえます。主なグループとしては、以下が挙げられます。

Insud(インスッド)グループ: 医薬品、林業、食肉、出版、デザイン
Macri(マクリ)グループ(創始者は前マクリ大統領の父親): 建設・不動産、自動車、運輸、郵便、廃棄物収集、食品
Proaco(プロアコ)グループ: 建設、エンジニアリング
Sutton Dabbah(サットン・ダバ)グループ: フレグランス、ホテル、ショッピングモール
Werthein(ヴェルテイン)グループ: 食肉、果物加工、マテ茶金融、倉庫、不動産、エネルギー

3.メキシコ

Slim(スリム)グループ(フォーブスの世界長者番付の常連であるカルロス・スリム氏のグループ):
通信と不動産がメインであるが、その他、家電や文房具などの小売り、飲料水・ガス供給なども。売上高では、以下のその他のグループを大きく引き離している。
Femsa(フェムサ)グループ: 清涼飲料水、タバコ、食品、デパート、オートパーツ、運輸、プラスチック・皮革産業
Alfa(アルファ)グループ: 食品、化学産業、プラスチック・皮革産業、通信、石油ガス
Bimbo(ビンボ)グループ: 食品産業中心
Cemex(セメックス)グループ: 主力のセメントの他、鉱山開発も
BAL(バル)グループ:  鉱山開発、金融、証券中心
Soriana(ソリアーナ)グループ:リテール、不動産
Kaluz(カルス)グループ: 化学品、プラスチック、発電・送電・配電、建設・エンジニアリング、金融・証券

4.コロンビア

コロンビアの財閥系のグループとしては、以下が挙げられます。

Ardilla Lulle(アルディラ・ルレ): ビール・清涼飲料水、製糖、マスコミの他、プラスチック、繊維、金融
Santo Domingo(サント・ドミンゴ)グループ:ビール、金融、保険、航空、マスコミ・新聞など
Sarmiento(サルミエント)グループ:金融、通信、保険、リース、証券など

この他、特定の一族による経営ではありませんが、複数の企業が系列を成す、食品、銀行、保険、セメント業などのAntioqueño(アンティオケーニョ)グループがあります。

5.チリ

林業が発達しているチリでは、軍政時代に政府の積極的な補助を受けたMatte家とAngelini家が、チリ南部での松とユーカリの植林による紙パルプ産業で財を築き、チリの主要な財閥となっています。

Matte(マテ)グループ: 紙パルプ、発電、通信、銀行、港湾運営
Angelini(アンジェリーニ)グループ: 紙パルプ、石油ガス小売り、食品、保険、IT
Yarur(ヤルール)グループ: 銀行、薬局、食肉、ワイン醸造
Luksic(ルクシック)グループ: 金融、鉱山開発
Solari(ソラーリ)グループ: リテール、マスコミ、航空、食品

6.ペルー

ペルーでは、食品産業や鉱山開発で財をなした財閥が多いといえます。

Romero(ロメロ)グループ: 食品、運輸、インフラ、リテール、エタノール、海運
Breca(ブレカ)グループ: 銀行、保険、医療機関、鉱山開発、漁業、セメント、塗料、不動産
Intercorp(インターコープ)グループ: 銀行、保険、リテール、ホテル、レストラン、不動産、娯楽
Gloria(グロリア)グループ: 乳製品、セメント、食品、紙製品、運輸
その他、特定産業に特化した家族経営企業として、飲料のAje(アヘ)グループ、化粧品Belcorp(ベルコープ)などがある。

~コラム~

家族経営の会社

中南米では財閥以外でも、外資でない地元の企業は家族経営が多いといえます。そして家族経営の会社は自社のホームページでわざわざ、「当社は家族経営の会社です」とアピールします。いつ何時撤退してしまうかわからない外資の企業や、会社にあまり思い入れがなさそうな雇われ社長が交代で仕切る会社よりも、従業員にとっても取引先にとっても信頼がおけるイメージがあるからといえます。
こうした家族経営の会社では、お父さんが社長、長男が財務部長、次男が営業部長、長女がマーケティングなどを担当し、経営会議は家族会議の様相ですが、会社の規模が大きくなればなるほど、そこに血が直接つながらない娘婿や親戚筋が登場して、意見の相違や軋轢が生じることもあり、テレビドラマなどでもそういうシーンがよく出てきます。

女性は世界中どこもお洒落をするのが好きですが、男性もお洒落なコロンビアで、質が良く妥当な価格で大成功し、中米や南米の他の国にも積極的に進出している紳士服専門チェーンがあり、フォーマルからカジュアルまで、センスの良いお洒落な服を販売しています。
創立50年のこの企業は、財閥グループには属していませんが、創始者は、田舎の9人家族の家庭に生まれ、幼少の頃から自宅の農地でとれた野菜や果物を売っていたそうです。学歴はないのですが、生まれながらにセールスの才能があったようで、自宅の農産物だけでなく、近所の農家からも売ってくれと頼まれてお金を少しずつ貯め、若い時に首都のボゴタの商店街の紳士服店で働きながら更にお金を貯めて、20代後半で独立して自分の名前(Arturo Calle)をつけた紳士服ブランドを確立しました。成功の秘訣は、焦らないこと、借金をしないこと、正直であること、だそうです。

<過去の記事リンク>

その1: 地理情報と政権を知る。まずこれだけはおさえておきたい、中南米の地理と政治の基本。
その2: 各国の主な経済指標を知る。各国の経済規模と状態を、少し掘り下げて理解しよう。
その3: 中南米の産業構造。中南米は発展途上の先進国?
その4: 中南米の気候、料理、言語、人種。中南米の国民性を理解する要素をみる。
その5: 中南米諸国の貿易事情。何を輸出して何を輸入しているの?
その6: 自動車産業と、知られていない成長産業
その7: 中南米の文化を知る。音楽とお祭り、インターネット事情は?

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